PRADA

MADE IN ITARY 1998AW PRADA WOOL TWEED LONG COAT

定価
¥79,800
定価
特価
¥79,800
Tax included
COLOR : CHARCOAL

SIZE:52 着丈82cm 肩幅55cm 身幅66cm 袖丈60cm

MATERIAL : 表地 : WOOL 100%
裏地 : NYLON 100%

1998年秋冬のPRADAによるウールツイード・フーデッドジップコートは、90年代後半のプラダが確立した“ラグジュアリーの再定義”を、そのまま形にしたような一着です。ミウッチャ・プラダがファッションの文脈に持ち込んだのは、単なる高級素材や装飾性ではなく、「日常に存在する機能服を、いかに知的で洗練されたものへと昇華させるか」という思想でした。その象徴がナイロン素材であり、スポーツやワーク、ミリタリーといった実用服の要素を、ミニマルでモードなラグジュアリーへと翻訳していった時代背景があります。

本作はその思想が色濃く反映されたアウターで、ベースはフード付きのフルジップジャケットという極めてカジュアルな型でありながら、素材使いと設計は完全にラグジュアリーの文脈にあります。表地にはごま塩調のウールツイードを採用しており、単色では表現できない奥行きのある表情が特徴です。クラシックなツイードに見られる重厚感というよりも、比較的軽やかで柔らかさのあるウールで、コートとしての存在感を保ちつつも、日常的に羽織れる軽快さを備えています。この「上質だが構えすぎない」バランス感覚こそ、当時のPRADAが提示していた新しいラグジュアリー像だと言えるでしょう。

裏地にはプラダのアイコン的存在であるナイロン素材を使用。ウールという伝統的でクラシックな素材と、工業的で機能的なナイロンを組み合わせることで、ラグジュアリーとインダストリアル、エレガンスと実用性が一着の中で同居しています。この異素材の対比は、90年代後半のPRADAを語るうえで欠かせない要素であり、後のラグジュアリーストリートやテックウェア的文脈にも影響を与えた重要なデザインアプローチです。

フード部分にはドローコードが配され、シルエットやフィット感の調整が可能。防寒性を高めるための実用的なディテールでありながら、あくまで全体の佇まいはミニマルにまとめられており、過度なスポーティさを感じさせません。フロントはダブルジップ仕様で、着丈の長さを活かしつつ、スタイリングに応じた開閉のアレンジが可能です。インナーとのレイヤードや、ボトムスとのバランスを取りやすく、実際の着用シーンを想定した完成度の高さがうかがえます。

シルエットはやや長めの着丈に、身幅に余裕を持たせたリラックスフィット。当時のPRADAが提案していた“都会的なオーバーサイズ感”を感じさせつつも、ルーズになりすぎない絶妙なバランスです。コートほどフォーマルではなく、ブルゾンほどカジュアルでもない中間的なポジションにあるため、デニムやスラックス、ウールパンツなど幅広いスタイルに自然に溶け込みます。カジュアルな装いに合わせても品を損なわず、きれいめなスタイリングに合わせても程よい抜け感を演出できる汎用性の高さも魅力です。

1998年という年代は、PRADAのアーカイブの中でも特に評価の高い時期にあたります。ナイロンバッグの成功を経て、ブランドとしてのアイデンティティが明確になり、「機能素材×ラグジュアリー」という独自の路線が確立されていったタイミングです。この頃のアウター類は、現行品には見られない素材使いや、過度な装飾を排した知的なミニマリズムが特徴で、近年ではヴィンテージPRADA、アーカイブPRADAとして再評価が進んでいます。特にナイロン単体ではなく、ウールやツイードなどのクラシック素材と組み合わせた個体は流通量が少なく、コレクターや感度の高い層からの支持も厚いジャンルです。

コンディションに関しては、若干の薄いシミ汚れが見られるものの、着用時に大きく気になるレベルではなく、ヴィンテージ・アーカイブとしては十分に良好な状態です。むしろ、ウールツイードの風合いと相まって、過度に“新品すぎない”自然な表情が、このアイテムの持つ雰囲気をより豊かなものにしています。単なるデッドストックのような無機質さではなく、「服としての時間」を適度に纏った一着と言えるでしょう。

現代のファッションシーンにおいても、ラグジュアリーと日常着の境界はますます曖昧になっており、このPRADAのフーデッドウールコートはまさに今の空気感ともリンクする存在です。テック素材やスポーツ由来のディテールを取り入れたスタイルが一般化した現在において、90年代後半のPRADAが示したこのアプローチは、むしろ先進的であったことが再認識されています。スニーカーやデニムと合わせてラフに着ても成立し、レザーシューズやスラックスと合わせれば都会的で洗練された印象にもなる、振り幅の広さも大きな魅力です。

この一着は、防寒のためのアウターであると同時に、PRADAというブランドが90年代に提示した価値観や美意識をそのまま身に纏えるプロダクトでもあります。ウールツイードという上質でクラシックな素材を、フード付きジップアウターという日常的なフォーマットに落とし込み、裏面にはブランドの象徴とも言えるナイロンを配することで生まれた、極めてPRADAらしい佇まい。時代性を色濃く反映しながらも、今見ても古さを感じさせない完成度の高さは、アーカイブとしての価値だけでなく、純粋に“良い服”としての魅力を強く感じさせます。

単なるヴィンテージや過去の名作という枠を超えて、現代のワードローブにも自然に溶け込む一着。PRADAというブランドが持つ思想、素材へのアプローチ、日常服へのまなざしを体現したプロダクトとして、ファッション性・実用性・アーカイブ性のすべてを兼ね備えた、非常に完成度の高いウールフーデッドアウターです。