LOEWE

LOEWE Lamb Napa Leather Tailaored Jacket

定価
¥165,000
定価
特価
¥165,000
Tax included
COLOR : BEIGE

SIZE 54:着丈79cm 肩幅47cm 身幅60cm 袖丈69cm

MATERIAL : 表地:LAMB LEATHER 100%
裏地:VISCOSE 100%

19世紀の質実剛健なワークウェアや軍実物品としてのミリタリーウェアから、2000年代の洗練されたモダンアーカイブにいたるまで、衣服の歴史は常に時代の要請とデザイナーの思想によって形作られてきました。当店が目指すのは、単なるヴィンテージ古着の販売に留まらず、これら悠久の時をサバイブしてきた衣服の意匠を多角的な視点から紐解き、ゆくゆくは一冊の服飾史として結実するような資料的価値の高いコレクションを蓄積していくことです。その壮大なアーカイブの系譜において、エルメスと並び立ち、レザーというマテリアルにおけるもう一つの絶対王政を敷いてきた孤高のメゾンが、スペイン・マドリードの至宝、LOEWE(ロエベ)です。今回ご紹介する衣服は、そのロエベが伝統的なサルトリアの技巧を尽くして構築した、極上のラムナパレザー3ボタンテーラードジャケットです。1846年の創業以来、スペイン王室御用達の称号を背負い、革のクオリティだけで世界を震撼させてきたメゾンの誇り。そして、ロエベのアイデンティティそのものであるナパレザーの官能的なまでの柔らかさと、現代のストリートやモードのスタイリングにおいて一際強い注目を集めるテーラードジャケットという様式美が、極限のレベルで融合を果たした、至高のマスターピースです。

ロエベというブランドを解き明かす上で、彼らが世界最高峰と称される理由は、マドリードの職人たちに脈々と受け継がれてきた卓越したクラフトマンシップと、原皮に対する冷徹なまでの厳格さにあります。ロエベのアトリエに集められるレザーは、世界中の名門タンナーが仕立てた原皮のなかから、専門の職人が手作業で傷や血筋、わずかなムラを精査し、最終的に残ったわずか数パーセントという奇跡的なトップクオリティの部位のみです。なかでも、1970年代にロエベが開発し、世界にその名を轟かせたナパレザー、すなわち最高峰のラムスキンは完全に別格の存在です。通常、型崩れを防ぐために一定の硬さを持たせるテーラードジャケットという様式美において、ロエベは極限まで薄く、シルクのようにしなやかに仕上げられたラムナパレザーをあえて全面に投入しました。指で触れた瞬間に体温がそのまま革に吸い込まれるような極上のキメ細かさと、まるで最高級のウールギャバジンさながらに、衣服の自重でトロリと流れるような美しいドレープ。この柔らかさと強靭さの究極の共存こそがロエベの真骨頂であり、レザーウェアの概念を芸術の域へと引き上げた最大のファクトです。

本作をさらに精査し、ディテールやタグの仕様を紐解くと、このジャケットが持つ歴史的なコンテキストと製造年代が克明に浮かび上がってきます。ブラックのミニマルな織りネームタグ、および内ポケット裏に配された「LOEWE JAPAN(ロエベ・ジャパン)」表記のあるモダンなマテリアルタグの形式から推証すると、本作の製造年代は2000年代中頭から後半、すなわちナルシソ・ロドリゲスやホセ・エンリケ・オニャ・セルフがクリエイティブ・ディレクションを率いていた時代のモダンアーカイブであると強く推定されます。この2000年代のロエベは、1996年にLVMHグループの傘下に入り、伝統のマスターアルティザン技術をベースにしながらも、より都会的で洗練されたコンテンポラリー・モードへと劇的な進化を遂げていた過渡期でした。過度なギミックに頼るのではない、テーラードジャケットというメンズウェアの究極の基本形に対して、素材の破壊力とカッティングの精度だけで勝負を挑んだ、極めて贅沢で自信に満ち溢れた時代の遺物です。

現在、ファッションシーンにおいてテーラードジャケットというアイテムは、単なるビジネスやフォーマルの枠を完全に飛び越え、ストリート、モード、カジュアルのすべてを包括する最大のトレンドピースとして君臨しています。ボックスシルエットや適度なリラックス感を持ちながらも、襟元が描くVゾーンによって一瞬にして全体のスタイリングを端正に引き締めるテーラードは、大人の日常着としてこれ以上ないアドバンテージを持っています。しかし、一般的なウールやリネンのテーラードではどうしても凡庸な印象に落ち着きがちです。そこで本作のラムナパレザーという選択が、圧倒的な差別化をもたらします。本来、硬さのあるレザーで仕立てられたジャケットは、肩周りが突っ張り、着用時のストレスや武骨すぎるギア感が出てしまいますが、本作のロエベのナパレザーは驚くほど身体のラインに寄り添って軽やかに馴染むため、上質なシャツやカーディガンを羽織っているかのような錯覚を覚えるほどです。フォーマルな様式美を持ちながら、着心地は極限までコンフォータブル。この二律背反をクリアしたモダンなテーラードジャケットだからこそ、現代のファッショニスタたちが血眼になって探す現代的な価値が宿っています。

意匠を細部まで観察すると、ロエベのマイスターたちが仕立てたクチュール級のディテールワークが随所に光を放っています。フロントのVゾーンを形作るノッチドラペルは、ミリ単位の狂いもない精緻なステッチワークによって美しくエッジが立てられており、型崩れしない凛とした気品を胸元に演出しています。フロントに配された3つのボタン、および袖口のボタンには、ボディのきなりに近い極上の生成りベージュの色彩に完璧に同調させた、ブランドロゴが立体的に刻印された最高級のオリジナルボタンが採用されており、全体のトーンを崩さない圧倒的なミニマリズムを貫いています。フラップ付きの腰ポケットの玉縁仕様や、左胸のバルカポケットのカッティングも非の打ち所がないほど立体的であり、仕立ての良さを無言で主張しています。

さらに、衣服の内部へと視線を移した瞬間に、本作の美学の決定打となる意匠が視界に飛び込んできます。襟裏から背裏の首元にかけ、最高級のラムナパレザーに直接、ロエベの栄光の象徴である4つの「L」を組み合わせた「アナグラム(Anagram)」の巨大なエンボス(型押し)グラフィックが大胆に配置されています。このアナグラムは、1970年に対称性の美学に基づいてデザインされて以来、ロエベの最高品質を保証する刻印として使われてきた神聖なディテールです。着用時には決して外からは見えないこの背襟裏に、これほどまでの巨大なアナグラムのエンボスを施すという圧倒的な職人の遊び心と、見えない部分の贅沢。これこそが、ロエベがスペイン王室御用達として、世界中の王侯貴族や富裕層から愛され続けてきた本質的なブランドシップの証明です。総裏で張られた裏地には、シルクのような滑らかさと最高の吸湿性を誇る100パーセント高級ベンベルグ・レーヨンファブリックが採用されており、ナパレザーの軽さと相まって、袖を通した瞬間に極上の腕通しの良さと、軽やかで至高の着心地を着用者にもたらします。

現代の日常着として本作を俯瞰した際、その価値を決定的に高めているのが、このきなりに近いベージュという圧倒的な色彩の先駆性と、サイズ54という現代のオーバーサイズスタイリングに完璧に合致する奇跡的なサイズバランスです。ヴィンテージのレザージャケットの多くを占める、男臭すぎる黒やダークブラウンとは完全に一線を画した、柔らかく、中性的で、圧倒的なクリーンさを湛えたこの生成りベージュは、現代のストリートやモードのニュアンスカラーのスタイリングや、ワイドなデニム、クリーンなスラックスの上から肩をドロップさせてガサッと羽織るだけで、一瞬にしてスタイリングの格を最上位へと引き上げます。サイズ54というビッグサイズだからこそ、ナパレザー特有のしなやかな生地の余白が、動くたびに美しいドレープと丸みを帯びたバルーンシルエットを描き出し、現代のハイメゾンが計算して作り上げた高級なオーバーサイズジャケットさながらのダイナミックな佇まいを完成させます。

当店がこのロエベのラムナパレザー・テーラードジャケットを資料的価値の高いアイテムとして位置づける理由は、スペイン王室御用達の歴史が育んだナパレザーの奇跡的な質感、2000年代後半というモダンデザインへの過渡期の記憶、襟裏に隠された巨大なアナグラムエンボスというクチュールディテール、そして現代のトレンドに完璧にアジャストする生成りベージュのビッグサイズという規格外の希少性が、すべて完璧な状態で一つの衣服にパッケージされているからです。希少なヴィンテージを所有することの意義は、その衣服に宿る確かな価値の根拠と歴史の断片を、自らのワードローブの一部として引き継ぐことにあります。衣服をただ消費するのではない、その背景にある歴史やコンテキストを読み解き、自らのクローゼットに迎え入れること。それは、一冊の壮大な服飾の本の、重要な1ページを所有することと同義です。時空を超えて完璧な姿のまま現代に洗練された姿を留めるこのロエベの至宝は、時代や流行がどのように移り変わろうとも、決して色褪せることのない普遍的な価値を、それを纏う者に与え続けてくれるでしょう。当店が良いと思うアイテムの集積として、この先も未来へ遺すべき美しい遺産の筆頭として、自信を持っておすすめいたします。