ARNYS PARIS 3B CASHMERE JACKET

ARNYS PARIS 3B CASHMERE JACKET

アルニス（ARNYS）は、フランス・パリのサルトリア史に燦然と名を残す名門。

その存在を語る上で欠かせないのが、あの伝説的なジャケット「フォレスティエール（La Forestière）」です。

建築家ル・コルビュジエが愛用したことで知られるこのモデルは、ハンティングジャケットを基にしながらも、上質な仕立てとエスプリの効いた構造で、フレンチテーラリングの美学を決定づけた逸品。

クラシックでありながら軽快、構築的でありながら遊び心に溢れる。その哲学は、アルニスというブランド全体に脈々と流れ続けています。

そして本作「ARNYS PARIS 3B CASHMERE JACKET」もまた、その系譜に連なる一着です。

見た瞬間に感じるのは、ため息が出るほど美しいブルーの発色。

深みと透明感を併せ持つこの色調は、アルニス特有の染色と上質なカシミヤ素材の融合によって生まれたもの。光を柔らかく受け止めながら、角度によって微妙に表情を変える。

まるで静かな湖面のように、品格と静寂を纏った佇まいです。

素材は最高級のピュアカシミヤ。

その肌触りは、まるで空気を撫でているかのように滑らかで、袖を通した瞬間に体温と一体化する感覚を味わえます。

軽やかでありながら適度な厚みがあり、肩の丸みに自然に馴染む構築。

テーラードジャケットというよりも、むしろ「纏うカシミヤ」と呼ぶべき上品な仕上がり。

冬の冷気を忘れさせる暖かさを備えながら、決して重さを感じさせない。これこそ、アルニスの真髄です。

デザインは3つボタンのクラシックなシルエット。

一見オーソドックスですが、よく見るとポケットの配置やカッティングには独特のニュアンスが宿ります。

フランス的な曲線美を意識した立体的な構築で、ウエストの絞りは控えめながら、自然なドレープを生むパターン。

肩から袖にかけての流れは非常に滑らかで、着る者の姿勢や所作を美しく見せます。

この絶妙なバランス感覚は、職人による緻密な仕立てと経験の積み重ねによるものでしょう。

サイズは「60」。

ヨーロッパでも希少なビッグサイズで、ゆとりのあるシルエットを探している方に最適な一着です。

クラシックなジャケットでありながら、現代的なリラックススタイルにも見事に調和。

インナーにニットやシャツを合わせるのはもちろん、ワイドトラウザーやデニムと組み合わせても、エフォートレスな品格を演出します。

今の時代にこそ、新鮮に映る大人の余裕が漂うサイズ感です。

コンディションは極めて良好。

ほぼ未使用といって差し支えないほどの美しい状態を保っています。

カシミヤ特有の毛羽立ちやテカリも見られず、保管時の丁寧さが伺える一着です。

袖口やラペル、裏地に至るまで、職人の手仕事による丁寧な縫製が見て取れます。

まるで時を止めたような完璧な保存状態で、当時のアルニスのクオリティをそのまま体感できる希少な機会と言えるでしょう。

ARNYSは2012年にエルメス（HERMÈS）に吸収され、その独自の工房とスタイルはすでに歴史の中へと消えました。

ゆえに、こうした純粋なARNYS PARIS名義のアイテムは、今では世界的に入手が困難。

特にカシミヤ素材のジャケットは、限られた顧客のためにオーダーメイドで仕立てられたものが多く、現存数も極めて少ないのが実情です。

だからこそ、この一着には“パリの仕立て屋文化”の息吹が確かに宿っている。

トレンドとは無縁の、普遍的な美しさがここにあります。

袖を通すたびに、アルニスが築き上げた美学を感じることができる

それは、単なる服を超えた“感性の遺産”です。

完璧な縫製、極上のカシミヤ、そしてフランス特有の色彩感覚が見事に融合したこのジャケットは、現代のどんなブランドにも真似できない存在感を放ちます。

ARNYS PARIS 3B CASHMERE JACKET。

流行の波を越え、エレガンスの本質を体現した一着。

それは、上質を知る大人のための“静かな贅沢”です。

ぜひその手で、この美しいカシミヤの光沢と、アルニスが遺した魂の仕立てを感じてください。