87SS STONE ISLAND "MARINA" Rubberised Pocket Sailcloth Jacket
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COLOR : BLACK
SIZE M : 着丈66.5cm 身幅57cm 肩幅62.5cm 袖丈56cm
MATERIAL : Cotton 86% Polyurethane 7% Acryl7%
87SS STONE ISLAND "MARINA" Rubberised Pocket Sailcloth Jacket
1982年、イタリア・ボローニャにてマッシモ・オスティ(Massimo Osti)が立ち上げた〈Stone Island(ストーンアイランド)〉。創設から現在に至るまで、ミリタリー、ワーク、マリンといったユニフォームウェアをベースに、実験的な素材開発と独創的な染色技術を重ね、他のブランドには決して真似できない孤高の存在感を築いてきました。ブランドのアイコンである羅針盤のワッペンは、“海”や“探検”を想起させる象徴であり、その背後にある哲学は「未知を恐れず、素材と技術の可能性を切り拓く」という姿勢そのものです。
マッシモ・オスティは、ジャーナリストからデザイナーへと転身した稀有な人物であり、テキスタイル研究の第一人者でもありました。彼は既存のファッションの枠を超え、工業用キャンバスや軍需素材、作業服用のファブリックを衣服へと転用し、新たな命を吹き込むことで知られます。その思想は「衣服は単なる装飾品ではなく、機能と歴史を纏う道具である」という哲学に集約されます。そして〈Stone Island〉はその思想を体現し、実験室のように絶えず新素材の開発と加工技術を追求してきました。
本作「1987年春夏 STONE ISLAND MARINA Rubberised Pocket Sailcloth Jacket」は、そうしたオスティ初期のクリエイションの中でも非常に特異な位置を占める一着です。まず注目すべきは“MARINA”ラインという点。MARINAは〈Stone Island〉の中でもマリンウェアに特化したサブレーベルで、ヨットやセーリングから着想を得たプロダクトが展開されました。その背景には、オスティ自身が“海”という未知の領域に魅了され、船員のユニフォームを研究し続けた歴史があります。
素材には〈Stone Island〉を象徴する“セイルクロス(帆布)”が用いられています。もともとヨットの帆に使われるタフで耐水性に優れたキャンバスをベースに、洗練された染色と加工を施すことで、衣服として成立させています。本作ではさらに、胸元に配されたラバーライズド(ゴム引き加工された)ポケットが目を引きます。ラバー素材は経年劣化が避けられないパーツですが、本個体においてはコンディションが非常に良好であり、ひび割れや剥離が少なく、柔軟性と色の深みを保っています。この点は30年以上の時を経たアイテムとして特筆すべき特徴であり、コレクターズアイテムとしての評価を大きく高める要素です。
また、随所に見られるフェード感は、当時のストーンアイランド独自のガーメントダイ(製品染め)やウォッシュ加工によるもの。使い込まれた風合いが偶然ではなく意図的に生み出されたものでありながら、現在では経年のアタリと混じり合い、唯一無二の表情を形成しています。肩から袖にかけての立体的なカッティング、機能性を重視した大きめのボタン、ワークジャケット的な重量感といったディテールは、オスティが「衣服を道具とみなす」という思想を体現しています。
さらに特筆すべきは、左腕に縫い付けられた羅針盤のアイコンパッチ。1980年代当時のオリジナルパッチは現行品と比べて質感や色合いが異なり、時代を映す重要なディテールでもあります。この一着においてもオリジナルのパッチが残されており、コレクターにとっての大きな価値を担保しています。
1987SSという時代背景を考えると、このジャケットはブランド黎明期の希少なアーカイブに位置づけられます。マッシモ・オスティ在籍時代のプロダクトは、後のStone Islandを決定づけた“素材実験”の原点であり、現代のコレクターズマーケットでは非常に高い評価を受けています。その中でもMARINAラインのアイテムは流通量が極めて少なく、特にラバーライズドポケットが良好な状態で残っている個体はほとんど市場に出回りません。
今日、ファッションシーンにおいてStone Islandはストリートからハイエンドまで幅広く受け入れられていますが、その本質は常に“実験”と“探究”にあります。このジャケットはそのDNAを凝縮した象徴であり、着る者にブランドの哲学をまとう体験を与えてくれるでしょう。
希少性、コンディション、そして歴史的意義を兼ね備えた本作は、単なるヴィンテージウェアではなく、マッシモ・オスティの思想を今に伝える“アーカイブピース”です。30年以上前に誕生しながら、いまだ現代のファッションに鮮烈な影響を放つその姿は、まさにコレクターズアイテムの真髄と言えるでしょう。
Stone Island が示す“未知の探究”を、この一着と共に。


