1989s C.P.COMPANY MILLE MIGLIA RACER JACKET Ideas From Massimo osti
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¥298,000 - 定価
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¥298,000
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COLOR : BROWN
SIZE 50:着丈78cm 肩幅57.5cm 身幅68cm 袖丈62cm
MATERIAL : COTTON 58% NYLON 27% POLYURETHANE 15%
1989年製のC.P. COMPANY「MILLE MIGLIA RACER JACKET」は、イタリアン・スポーツウェアの歴史と実験精神を象徴する、まさに“資料級”とも言えるスペシャルピースです。C.P. COMPANYの創設者であり、STONE ISLANDの生みの親としても知られるマッシモ・オスティが手がけたMille Migliaシリーズは、ファッション史の文脈においても極めて重要な位置付けにあります。Mille Miglia(ミッレミリア)とは、1927年に始まったイタリアの伝統的な耐久自動車レースの名称であり、イタリア国内を縦断する約1,600km(=1,000マイル)を走破する過酷なロードレースとして知られています。単なるモータースポーツではなく、クラシックカー文化やイタリアの美意識、職人文化、スピードへの憧憬が複合的に絡み合った“国民的カルチャー”とも言える存在です。
マッシモ・オスティは、このMille Migliaの持つロマン性と機能美に着目し、レースウェアやドライビングギアの構造を日常着へと翻訳する試みを行いました。本作のRacer Jacketは、その思想を最もストレートに体現したモデルであり、実用的なカッティングや可動域を意識したパターン設計、レイヤリングを前提とした構造など、単なるデザイン性に留まらない「ギアとしての服」というC.P. COMPANYの哲学が凝縮されています。当時の彼は、ミリタリーウェア、ワークウェア、アウトドアギア、レーシングスーツといった異なる機能服の文脈を横断し、それらを都市生活者のためのモダンな服へと再構築することに強い情熱を注いでいました。
本個体はフードのない仕様のMille Miglia Racer Jacketで、シリーズの中でも比較的ミニマルで洗練された印象を持つモデルです。Mille Migliaといえばゴーグル付きフードのモデルが象徴的で、現在のヴィンテージ市場においても高い評価を受けていますが、フードを排したこちらの仕様は、よりタウンユースに適したバランスとなっており、首元の収まりや全体のシルエットが非常に美しいのが特徴です。レーシング由来の無骨さと、ファッションピースとしての品の良さが共存しており、現代のスタイリングにも自然に溶け込みます。
カラーリングは、長年の経年変化によって生まれた独特のフェード感が魅力で、ブラウン、カーキ、オリーブが複雑に混ざり合った深みのあるトーンに仕上がっています。C.P. COMPANYが得意とするガーメントダイの文化は、単なる色付けではなく、時間の経過とともに服そのものが表情を変えていくことを前提とした思想でもあります。本個体に見られる色ムラやアタリ、やれた質感は、まさに“着込まれることで完成する服”というオスティの美学を体現しています。新品には決して宿らないこの風合いこそが、ヴィンテージC.P. COMPANYの最大の価値であり、コレクターや愛好家がこの時代の個体を追い求め続ける理由でもあります。
生地には、ミリタリーやワークウェアに通じる高密度なコットンファブリックが用いられており、着用を重ねることで徐々に柔らかくなり、身体に沿うように馴染んでいきます。実用性を重視しながらも、あくまで日常着として成立する快適性が確保されている点は、当時のイタリアン・スポーツウェアならではの完成度と言えるでしょう。また、フロントのジップにはイタリアの老舗ファスナーメーカーであるLAMPO(ランポ)社製のジッパーが採用されています。LAMPOは、1960〜90年代のヨーロッパ高級衣料に多く使用されていたパーツであり、その滑らかな開閉と耐久性は、当時のハイエンドな服作りを象徴するディテールのひとつです。こうしたパーツ選定ひとつを取っても、C.P. COMPANYが単なるデザインブランドではなく、“プロダクトとしての完成度”を強く意識していたことが読み取れます。
サイズは50と、当時のイタリアブランドとしてはかなり大きめの設定で、現代的な感覚でも余裕を持って着用できるゴールデンサイズです。タイトな作りが多いマッシモ・オスティ期のアイテムの中で、このサイズ感は非常に貴重であり、インナーにスウェットやニットを仕込んだレイヤードスタイルにも対応できます。オーバーサイズ気味に羽織ることで、現代的なバランス感のスタイリングにも落とし込みやすく、単なるヴィンテージアイテムに留まらない汎用性を備えています。
Mille Migliaシリーズが現在これほどまでに再評価されている理由は、STONE ISLANDやC.P. COMPANYが切り拓いた“機能服×ファッション”という文脈が、現代のテックウェアやゴープコア、ミリタリーMIXのトレンドと強く共鳴しているからに他なりません。マッシモ・オスティのプロダクトは、現代デザイナーに多大な影響を与え続けており、オリジナルである当時のアイテムは、単なる古着ではなく“ファッションの源流”としての価値を帯びています。近年では海外のアーティストや俳優、ファッション感度の高い著名人がSTONE ISLANDやC.P. COMPANYのアーカイブを着用するシーンも増え、その流れの中でMille Migliaの評価もさらに高まっています。
フード付きモデルが象徴的な存在である一方で、このフードなしのRacer Jacketは、より洗練された佇まいを持ち、大人のワードローブにも自然に溶け込む一着です。ミリタリーやワークウェアの文脈を感じさせながらも、都市的でモダンな印象を併せ持つバランス感覚は、まさにマッシモ・オスティならではの美学です。単なるヴィンテージジャケットではなく、ファッション史・機能服の進化・イタリア文化のロマンを一着で体現したプロダクトとして、長く付き合っていける価値ある一着と言えるでしょう。


