1943 WWⅡ BRITISH ARMY PINK CAMOUFLAGE ANTI GAS CAPE DESERT STORM COAT WITH STAMP & STRAP
- 定価
-
¥400,000 - 定価
-
- 特価
-
¥400,000
在庫取り置きの表示がロードできない
COLOR : PINK
SIZE:ONE 着丈121cm 身幅81cm 裄丈80cm
MATERIAL : COTTON
1943 WWⅡ BRITISH ARMY PINK CAMOUFLAGE ANTI GAS CAPE DESERT STORM COAT WITH STAMP & STRAP
第二次世界大戦の影の中で生まれ、今や幻とされるピースがここにあります。
こちらは1943 British Army Pink Camouflage Anti-Gas Cape。
通称“ピンクカモ ガスケープ”と呼ばれる、砂漠戦線での使用を想定して作られた極めて希少な実物です。
当時、英国軍は北アフリカ戦線(エル・アラメインなど)において、乾いた岩肌と赤土が混じる特殊な地形に対応するため、標準のカーキやオリーブではなくピンクベージュを基調とした迷彩を採用しました。いわば「砂漠のための特別仕様」。しかしその運用はわずか1〜2年、戦局の変化とともに姿を消します。短期間かつ限られた部隊のみへの支給だったため、現存数はごく僅か。今日に至るまで、その姿を留める個体は“奇跡的”と言って差し支えありません。
素材は極めて薄く軽量な防護加工コットン(オイルクロス系)。これは、敵の化学兵器=マスタードガス等の滴下を防ぐために開発された特殊素材で、通常のコートやスモックとは異なり、身体全体を覆うケープ状に仕立てられています。軽さと防御性を両立するための構造でしたが、皮肉にもこの素材が劣化しやすく破損・退色を起こしやすいという宿命を持っていました。
そのため、現代に至るまで完品で残る個体は極めて少なく、ほとんどが破れ・シミ・汚れを伴う状態。そんな中、本個体は目立ったダメージが少なく、十分に着用可能なコンディションを保っているという点で、非常に価値の高い存在です。
特筆すべきは、肩部のベルトストラップが完全に残っていること。
多くの個体ではこのベルトが切断・欠損していますが、本来の構造を維持しています。
このストラップは、ケープを装備の上から着用した際、ウェビングベルトやガスマスクバッグに連結して固定するためのものと考えられています。
砂漠の強風や動作中にケープがはためいたり、脱落したりするのを防ぐ機能的ディテール。
現存する個体でこのパーツが残っているものは非常に少なく、まさに完全形に近い一着です。
そしてもう一つ見逃せないのが、内部に残されたステンシルスタンプ。
製造年・サイズ・ロット番号などが印字される軍用識別スタンプは、英国軍ヴィンテージの真贋や時代特定の重要な手掛かりですが、戦地での使用や洗浄によって失われている場合がほとんど。
このコートにはそのスタンプが明瞭に残っており、歴史的資料としても価値が極めて高い状態を保っています。
実際に当時の部隊で使われた“生の記録”が、布の上に刻まれているのです。
ピンクカモという色自体にも、特異な魅力があります。
柔らかいピンクベージュとアイボリーの迷彩パターンは、砂漠の光の中では背景に溶け込み、夜間には幻想的な存在感を放ちます。
しかし戦後、このカラーリングは「特殊用途」として廃止され、後継のデザートパターン(DPMやサンドカモ)に統合されました。
戦場のわずかな時間しか存在しなかった幻の迷彩。それが、ピンクカモなのです。
このピンクカモ個体が今日ほとんど残っていない理由には、いくつかの背景があります。
第一に、使用期間が短かったこと。第二に、素材が薄く脆かったこと。
そして第三に、戦後の廃棄・再利用。
戦後、英国軍は化学防護服類を安全上の理由から焼却・処分したため、コート形状を保ったまま残るものは奇跡的に少数です。
また淡いピンクの迷彩は当時“軍用品としては目立つ色”とされ、民間転用にも向かなかったため、多くが姿を消しました。
これらの要因が重なり、コンディション良好・ストラップ付き・ステンシル残存の個体は、現在ほとんど市場に出ることがありません。
ミリタリーアーカイブとしての価値はもちろん、ファッションピースとして見てもこのケープは異彩を放ちます。
ゆったりとしたAラインのフォルムは現代のモードシルエットに通じるものがあり、スタンドカラーにスナップボタンというミニマルな構成も魅力。
黒のワイドパンツやシンプルなインナーと合わせれば、素材の軽やかさとパターンの美しさが際立ちます。
歴史的背景を知ることで、単なる“古い服”ではなく、「物語を纏う服」へと昇華します。
1943 British Army Pink Camouflage Anti-Gas Cape。
幻のピンクカモ、完全なストラップ、残るステンシル。
そのすべてが奇跡的に揃ったこの一着は、ただのヴィンテージではなく、戦争の記憶を今に伝える“生きた資料”です。
静かに、それでいて確かな存在感を放つその姿は、ミリタリーを超えてアートピースと呼ぶにふさわしい。
世界でも限られたコレクターしか手にできない、本物のアーカイブをぜひ。


