1930~40's French vintage "AU MOLINEL" Indhigo LInen Maquignon coat
- 定価
-
¥176,000 - 定価
-
- 特価
-
¥176,000
在庫取り置きの表示がロードできない
COLOR : INDIGO
SIZE 44:着丈106.5cm 肩幅46cm 身幅54cm 袖丈58.5cm
MATERIAL : linen 100%
1930~40's French vintage "AU MOLINEL" Indhigo LInen Maquignon coat
1930〜40年代に製造された、フランスの老舗ワークウェアブランド「AU MOLINEL」によるインディゴリネン製マキニョンコート。農村や市場で家畜の仲介人として働いていた「マキニョン(Maquignon)」が着用した作業着の一種であり、その中でも特に珍しいコートタイプの仕様となっています。通常のマキニョンはスモック状のプルオーバーが一般的で、前開きのロングコート型は極めて希少な存在です。
素材にはインディゴ染めのリネンを用いています。フレンチワークのリネンは使い込まれることで柔らかさを増し、独特の深みある色合いを見せますが、本品はまだ色が濃く残っており、強い褪色や荒れた色落ちは見られません。むしろインディゴ特有の奥行きと深さをたたえ、光の加減によって豊かな表情を見せるコンディションが保たれています。今日、このような色残りの良い状態で現存すること自体が非常に稀と言えるでしょう。
デザインは、ワークウェアでありながらもラペルカラーを備えた端正な佇まい。シングルブレストの4ボタンフロント、胸ポケット、左右の大型パッチポケットを配し、裾までストンと落ちる直線的なシルエットが特徴です。胸ポケットの横には、縦に配された細長いポケットが備わっています。これは通称「シザーポケット」や「ペンポケット」と呼ばれるディテールで、ハサミや小さな工具、あるいは筆記具を収めるための実用的な仕様です。当時の農村や市場で働くマキニョンにとって、家畜の取引に必要な書き付けや作業道具をすぐに取り出せるこのポケットは、まさに機能性を重視したワークウェアならではの設計と言えるでしょう。元来、家畜商人たちが市場での交渉や取引に臨む際に着用していたため、単なる作業着としてだけでなく、ある種の「正装」としての意味合いも持ち合わせていました。そのため、一般的なブルーワークジャケットに比べ、より洗練された意匠が盛り込まれています。
「AU MOLINEL」はフランス・リールにて19世紀に創業し、農業や畜産、工業に従事する労働者たちのためのユニフォームを数多く手がけたブランドです。質実剛健な縫製と耐久性の高い生地選びに定評があり、当時のプロフェッショナルユースに広く供給されていました。なかでもインディゴリネンのマキニョンは、彼らの代表的なプロダクトのひとつとされ、農民服の象徴的存在としても数えられています。
マキニョンやその周辺の「ビヨード(Biaude)」と呼ばれる衣服は、フランス農村の歴史に深く根付いたワークウェアです。ビヨードは元来、羊飼いや馬商人たちが着た膝丈のスモックで、広い袖とたっぷりとした身幅が特徴的でした。それに対してマキニョンは、より都市的・取引用途に特化した衣服であり、シルエットも直線的で、装飾を抑えた実用的な作りが主流でした。本品のようにジャケット的なディテールを備えたコートタイプは、当時の市場においても特別な位置付けであったことがうかがえます。
さらに、現存数の少なさも特筆すべき点です。1930〜40年代という限られた時代背景、さらに農村や市場といった過酷な現場で日常的に酷使された衣服であるため、ほとんどの個体は破損や退色、修繕を繰り返して現代まで残ってきました。結果として、今日市場に出回るものの多くは強いダメージを抱え、色が抜け切った状態のものが大半です。その中で、本品のようにコート型かつ色残り良好な個体は、ヴィンテージ市場でも極めて珍しく、コレクションピースとしても高い評価を受ける一着となります。
また、サイズにおいても希少性が際立っています。フレンチヴィンテージの多くはサイズが小さく、現代人の体格に合うものは稀少です。本品は日本人のM相当のサイズ感を有し、日本人のゴールデンサイズとして実際に着用可能な点でも特筆されます。コレクション性だけでなく、日常のスタイルに取り入れることができるという点で、より一層の魅力を備えています。
この「AU MOLINEL」のマキニョンコートは、フランス農村の歴史、ブランドの背景、インディゴリネンという素材の希少性、そして通常見られるスモックタイプではなくコート型という稀少性のすべてを兼ね備えた逸品です。ヴィンテージフレンチワークの中でもトップクラスの存在感を誇り、今後さらに出会うことが難しくなることは間違いありません。
一枚のコートに宿る物語と美しさ、それを纏うことで時代を超えた風格を感じ取っていただけるでしょう。


