1980's Czechoslovakian Army People's militias & Fire brigade blue splinter pattern camouflage jacket (2)
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COLOR : BLUE
SIZE ONE:着丈74.5cm 肩幅52.5cm 身幅56cm 袖丈64cm
1980's Czechoslovakian Army People's militias & Fire brigade blue splinter pattern camouflage jacket (2)
冷戦下の東欧、政治的緊張と社会主義体制のもとで独自の軍事体制を築いていたチェコスロバキア。このジャケットは、その時代の空気を色濃く反映する、人民民兵(People’s Militias)および国家消防団(Fire Brigade)に支給されていた極めて特異なカモフラージュウェアです。通称「ブルースプリンターパターン」と呼ばれる迷彩は、視覚的インパクトと歴史的背景を併せ持つ、東側諸国の軍装史の中でもひときわ異彩を放つ存在です。
このカモフラージュパターンは、鋭角的で断片的な“スプリンター(splinter)”タイプに分類され、その名の通り破片のような形状のパターンが幾何学的に配置されています。ドイツ軍の伝統的なスプリンターカモから影響を受けたとされつつも、チェコスロバキア独自の解釈により、より大胆で抽象的、かつ印象的な配色に昇華されています。
特筆すべきは、その色彩です。スプリンターカモといえば通常グリーンやブラウンを基調とした“森”のカモフラージュですが、本品は一転してブルー〜グレーをベースに構成されており、視覚的に非常にクールで、ミリタリーウェアの常識を覆すような美しさを備えています。これは都市部や夜間における活動、あるいは視認性と威圧感を両立させるための意図があったと考えられており、単なる戦闘服ではなく、“存在を誇示する制服”としての意味合いを持っていました。
本ジャケットの着用者である人民民兵(Lidové milice)は、社会主義体制下の治安維持組織として、労働者階級によって構成された準軍事組織です。反体制運動の監視やデモ鎮圧など、政治的な任務を多く担っていたことから、その制服もある種の“象徴”として重要な役割を果たしていました。一方、国家消防団も災害対応のみならず、非常時には準軍事的な動員対象とされる存在であり、いずれも通常の軍隊とは異なる文脈で運用されていました。
デザインはクラシックなミリタリージャケットスタイルを踏襲しつつ、東欧的な合理主義が感じられるシンプルな仕立て。大きめのフラップポケット、堅牢なコットン混素材、ストレートなシルエットなど、実用性と耐久性を重視したつくりになっています。さらに、使用頻度が限られていた組織ゆえに、コンディションの良い個体が多く、状態面でも高評価に値するヴィンテージです。
現在、このブルースプリンターパターンのジャケットは、欧州や日本をはじめとするミリタリーファッション愛好家やデザイナーたちから熱い注目を集めています。その理由は単なる希少性にとどまらず、パターンや配色の先進性にあります。都市的でモードな印象を持つブルーカモは、ストリートウェアやテックウェアとの相性も抜群で、タウンユースにおいても強烈な個性を演出できる一着です。
また、ソ連崩壊前夜の不穏な時代背景や、現在では存在しない国家の記憶を内包するこのジャケットは、ただの服以上の存在感を放ちます。
それはまるで、冷戦期の空気をそのまま封じ込めたかのような、“歴史の断片”物語をまとったプロダクト。
ファッション性と資料性を兼ね備えた逸品として、コレクターズアイテムにも相応しい価値を有しています。
今では製造も配備も完全に終了しており、年々入手が難しくなっているこのブルースプリンターカモジャケット。
ソ連圏ヴィンテージの中でも群を抜いた希少性と視覚的魅力を持つこの一着を、あなたのワードローブ、またはアーカイブにぜひ迎えてください。


