1980's Made in italy C.P.COMPANY hunting jacket "Design by Massimo osti"

1980's Made in italy C.P.COMPANY hunting jacket "Design by Massimo osti"

1980年代にイタリアで生まれたC.P. Companyのハンティングジャケットは、ブランド創設者であるマッシモ・オスティ（Massimo Osti）がデザインした時代のオリジナルピースという点で、非常に価値の高い一着です。単なるヴィンテージウェアではなく、オスティ自身が掲げた「機能性とファッションの融合」という理念を体現する象徴的な存在であり、コレクションピースとしても実用服としても圧倒的な存在感を放ちます。

マッシモ・オスティは1971年に「Chester Perry（のちのC.P. Company）」を設立し、雑誌編集やグラフィックデザインの経験を活かしながら、従来のファッションにない発想でウェアを生み出しました。軍物やワークウェア、アウトドアの要素を都市生活に落とし込み、革新的な素材開発や染色技術を導入することで、ファッションと機能の両立を徹底して追求しました。のちにStone Islandを立ち上げるオスティが、C.P. Company時代に試みた数々のデザインは、今なお数多くのブランドに影響を与え続けています。その中で本品のようなハンティングジャケットは、オスティの思想を色濃く反映した傑作のひとつと言えるでしょう。

このジャケットの特徴的なディテールは、クラシックなハンティングジャケットをモチーフにしつつ、C.P. Companyらしいモダナイズを加えた点にあります。フロントに配された大きなフラップ付きポケットは、狩猟やアウトドアの実用性を備えながら、都会的なスタイルにもしっかりと馴染むデザイン性を兼ね備えています。シルエットは直線的でありながらも動きやすく、オスティが好んだ「機能がデザインを決定づける」という理念が細部から伝わってきます。

さらに注目すべきは裏地にリネンが用いられている点です。リネンは通気性と吸湿性に優れ、汗ばむ季節でも快適な着心地を提供する一方で、耐久性にも富んでいます。オスティは機能的な素材選びに非常にこだわりを持っており、このリネンライニングもまた「単なる裏地ではなく、実用的な意味を持つディテール」として採用されています。その結果、このジャケットはタフな日常使いに耐えつつ、現代的なファッションアイテムとしても高い完成度を誇る逸品となっています。

カラーは淡いベージュ。これはフィールドジャケットやハンティングウェアにルーツを持つトーンですが、オスティの手にかかることで土臭さが抑えられ、むしろ洗練された都会的なニュアンスを帯びています。光の加減によって柔らかな陰影を見せるこの色調は、経年変化によってさらに深みを増し、ヴィンテージとしての魅力を強めていきます。現存する個体の多くは色褪せやダメージが見られる中、本品はコンディションも抜群に良好で、当時の雰囲気をそのまま纏うことができる点も大きな価値の一つです。

1980年代は、C.P. Companyが「都市生活におけるユニフォーム」というコンセプトを強く打ち出した時代でした。軍服やワークウェアをベースにしたデザインでありながら、単なる機能服では終わらない。ディテールには常にデザイン的な美意識が込められ、結果としてタイムレスなスタイルを獲得しています。本品のハンティングジャケットもまた、狩猟服としての実用性を尊重しながらも、都市生活者にふさわしいエレガンスを備えており、そのバランス感覚こそがオスティ期のC.P. Companyを特別な存在にしています。

現代のファッションシーンにおいても、このジャケットは圧倒的な存在感を放ちます。デニムやチノとの相性は言うまでもなく、スラックスやレザーシューズと合わせることで都会的なスタイルへと昇華させることも可能です。適度なゆとりを持つ80年代的なシルエットは、現在のオーバーサイズトレンドとも親和性が高く、まさに「今着るべきアーカイブ」と言えるでしょう。

特にマッシモ・オスティ期のC.P. Companyは、今日の市場においても非常に貴重であり、コレクターズアイテムとして高い評価を受けています。後年のプロダクトとは一線を画し、オスティの思想とクリエイティビティがダイレクトに反映されたプロダクトは、単なるファッションを超えてデザイン史の一部として語られる存在です。その中でもコンディション良好なジャケットは数少なく、本品のような状態で残っていること自体が奇跡に近いといえるでしょう。

この「1980’s Made in Italy C.P. Company Hunting Jacket “Design by Massimo Osti”」は、ブランドの歴史、オスティの思想、ハンティングジャケット由来の機能美、そしてリネンライニングという実用性を兼ね備えたディテールのすべてが凝縮された逸品です。時代を超えてなお色褪せない普遍的な魅力を備え、袖を通すことでオスティが描いた「未来のウェア」の片鱗を感じ取ることができるでしょう。