1950's German Army Sprinter camouflage paratrooper jacket
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¥165,000 - 定価
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¥165,000
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COLOR : SPRINTER CAMO
SIZE ONE:着丈75cm 肩幅57.5cm 身幅66cm 袖丈59cm
MATERIAL : COTTON 100%
1940年代、ヨーロッパが最も深い影に沈んでいた時代に生まれたのが、この「スプリンターカモフラージュ」です。
ドイツ軍が森林や茂み、土壌の色に溶け込むために開発したこの迷彩は、いわゆる“軍服”という枠を超え、後のカモフラージュデザインの原型とも言える存在になりました。まだ迷彩という概念自体が完成されたものではなかった頃、自然の中に身を溶かすために試行錯誤の末に生まれた、不規則かつ有機的なパターン。それがこのスプリンターカモです。
このパターンの面白さは、単なる隠蔽のための柄ではなく、「風景そのものを布に写し取ったような感覚」にあります。グリーン、ブラウン、赤みを帯びたトーン。それぞれがはっきり分かれているのに、全体で見ると自然な“景色”になる。その感覚は、現代のデザイナーズブランドが何度も引用してきた理由でもあります。
本来の用途は極めて実用的でした。
偵察部隊、歩兵部隊、森林地帯での戦闘行動。身を守るためのカモフラージュであり、命を預ける装備の一部でもあった服です。そうした極限状態の中で着用されていた背景を考えると、この一着が持つ重みは単なるヴィンテージの枠では語れません。
戦争が終わり、役割を終えたこうした迷彩服は、長い間倉庫や民間に払い下げられ、静かに時代の影に埋もれていきました。しかし60年代〜70年代になると、カウンターカルチャーの流れの中で再び注目されるようになります。戦争の象徴だったミリタリーウェアを、あえて自由と平和の象徴として身に纏うアーティストやミュージシャンたちが現れたのです。
その中で語られることの多い逸話があります。
かつてジョン・レノンが、こうしたドイツ軍のカモフラージュジャケットを好んで着用していた、という話です。確実な史料として断定できるものではなくとも、「戦争のために作られた服を、平和を訴えた人物が身に纏う」という構図は、多くの人の心を捉えてきました。迷彩服が“兵士の服”から“思想を纏う服”へと意味を変えた瞬間です。
軽井沢という土地でこうした一着を扱うことにも、不思議な親和性を感じます。
かつて外国人文化人が訪れ、避暑地でありながらも独特の文化的香りを持つ町。自然と歴史と静けさが共存するこの場所で、戦時中のヨーロッパで生まれた迷彩ジャケットが並ぶということは、単なる古着販売以上の意味を持っているように思います。
現代において、このジャケットは“軍服”ではありません。
機能のための服ではなく、思想や歴史、文化を身に纏うためのピースとして存在しています。現代のファッションに落とし込んだときも、単なるミリタリー感ではなく、どこか詩的な雰囲気さえ感じさせるのは、この柄が持つ背景の深さゆえです。
時代の痛み、文化の反転、そして再解釈。
1940年代のドイツ、60年代のカウンターカルチャー、そして現在の軽井沢。
そのすべてを静かに内包しているのが、このスプリンターカモフラージュという一着です。


