WORK & MILITARY

1950's East Germany "NVA" Blumentarn Camouflage Jacket

定価
¥110,000
定価
特価
¥110,000
Tax included
COLOR : Blumentarn Camo

SIZE ONE:着丈69cm 肩幅48.5cm 身幅57cm 袖丈58cm

MATERIAL : COTTON 100%

東ドイツ軍を象徴する迷彩として語られることの多い「ブルメンターン」は、ミリタリーカモフラージュの歴史において極めて特異な存在です。雨粒が散ったような独特の迷彩パターンは、単なる視覚的インパクトにとどまらず、冷戦下の東側諸国が追求した「人間の輪郭を曖昧にする」という思想が色濃く反映されたデザインでもあります。本個体は、その中でも後期型にあたるレアモデルであり、フードを排したジャケット仕様という点も含め、コレクタブルでありながら極めて実用性の高い一着です。


ブルメンターンカモが採用されたのは1950年代末から1960年代初頭にかけて。第二次世界大戦後、ワルシャワ条約機構の一員として生まれた東ドイツ(国家人民軍=NVA)が、西側諸国と対峙する緊張状態の中で独自の軍装開発を進める過程で誕生した迷彩です。当時の主戦場想定は、東欧の密度の高い森林地帯や湿地帯。そこに対応するため、ドット状・涙状の斑点を重ねたこのカモフラージュは、木漏れ日や雨に濡れた地面、草木の影を非常にリアルに再現するよう設計されました。


本アイテムは「後期型」と呼ばれる世代に属し、初期モデルと比較するとカラートーンが明らかに明るくなっています。前期型はオリーブグリーンやダークブラウンを基調とした、やや重たく無骨な印象が強いのに対し、後期型はベージュやサンドカラーの比率が増え、全体として抜け感のある配色に変化しています。これにより、ミリタリー色の強さは残しつつも、ファッションとしての取り入れやすさが格段に向上しているのが大きな魅力です。


さらに本モデルはフードを備えない仕様。元来、ブルメンターンのスモックやパーカータイプは大型フード付きで、ヘルメットの上から被ることを想定した設計でした。しかしこの個体は襟付き・フード無しのジャケット型となっており、日常着として非常にバランスの取れた仕上がりになっています。フードのボリュームに左右されず、インナーとのレイヤードも容易。シャツやニット、フーディーの上から羽織ってもシルエットが破綻しにくく、街着として高い完成度を誇ります。


サイズ感も特筆すべきポイントです。Lサイズ相当という、いわゆる“ゴールデンサイズ”に分類される個体で、過度にオーバーでも極端にタイトでもない、非常に扱いやすいバランス。古着ミリタリーでは、小さすぎる、もしくは大きすぎるサイズに偏りがちな中、このサイズレンジで状態良好の後期型ブルメンターンは非常に希少です。探してもなかなか出会えない条件が揃っていると言っても過言ではありません。


用途の話に触れると、このジャケットは本来、一般歩兵部隊や森林地域での戦術行動を想定して支給されていた装備です。優れた迷彩効果に加え、軽量で乾きやすいコットンベースの生地が使われ、長時間の行軍や潜伏にも耐えうる実用一点張りの作り。ポケット配置や前開きの構造も、片手での開閉や迅速な動作を意識した軍用ディテールそのものです。その“必要性だけで研ぎ澄まされたデザイン”が、現代のファッションシーンでは逆に説得力あるデザインとして評価されています。


現代的な価値という視点で見ると、ブルメンターンカモは単なるヴィンテージミリタリーを超えた存在になりつつあります。特に後期型の明るい配色は、モノトーンコーデやナチュラルカラーとの相性も抜群で、ミリタリー由来でありながらストリート、モード、アウトドアテイストのスタイルにも落とし込みやすい汎用性を持っています。無地のTシャツやスウェットにさらりと羽織るだけで、スタイル全体に奥行きと物語性を加えてくれます。


希少性という面でも、この一着は特筆すべき存在です。東ドイツという国家自体が1990年に消滅していることから、当然ながら生産はすでに終了しており、放出される数も年々減少しています。特に後期型+フード無し+グッドコンディション+ゴールデンサイズという条件が重なる個体は、市場でも明らかに減ってきています。単なる消耗品として生まれたはずの一着が、時代を超えて評価され、現代のクローゼットの主役になりうる存在へと変化しているのです。


実用性、歴史的背景、希少性、そして現代的なファッション性。そのすべてを高いバランスで兼ね備えた、東ドイツ軍ブルメンターンカモの後期モデル。ミリタリーアイテムでありながら、ミリタリーの枠に縛られない一着として、長く愛用していただける特別なピースです。