1940's WWⅡ German Army M42 Gebirgsjager Reversible Windbluse "Wehrmacht"
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¥198,000 - 定価
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COLOR : BEIGE
SIZE ONE:着丈83cm肩幅57cm身幅61cm袖丈60cm
1940's WWⅡ German Army M42 Gebirgsjager Reversible Windbluse "Wehrmacht"
第二次世界大戦期のドイツ軍被服のなかでも、特に希少性が高くコレクターズアイテムとして名高いのが「M42 Gebirgsjäger Reversible Windbluse」です。Gebirgsjäger(山岳猟兵部隊)は、険しい山岳地帯や極寒環境における戦闘に特化したドイツ陸軍の精鋭部隊であり、彼らの装備は通常の歩兵とは異なる特別な仕様を求められました。そのために設計されたのがこのウィンドブリュース(防風ジャケット)であり、過酷な環境に耐えうる実用性を持ちながら、時代背景を映し出す軍服としての機能美を備えています。
まず、時代的背景に触れる必要があります。1942年頃以降、東部戦線を中心にドイツ軍は苛烈な冬季戦を余儀なくされました。ロシア戦線での極寒や高地戦闘において、防寒と防風は兵士の生死を分ける重大な要素となります。このため従来のウール製被服に加え、リバーシブル仕様の防寒被服が多数開発されました。M42ウィンドブリュースもそのひとつであり、特に山岳部隊に支給されたことから、耐久性と機能性が非常に高い水準で求められました。
本作の最大の特徴は「リバーシブル仕様」であることです。片面はフィールドグレー、もう片面は白のウィンターパターンになっており、戦場環境に応じて使い分けることが可能でした。森林や岩場では迷彩効果を持つグレーを、積雪地帯では白を用いることで、兵士の生存率を高めるという実用的な意図が込められています。この仕様は現代アウトドアウェアのリバーシブルデザインの先駆けともいえるものであり、戦時下における衣服開発の知恵と技術が詰まっています。
ディテールを見ていくと、その設計思想が一層鮮明になります。前身頃には大型のフラップ付きポケットが配され、弾薬や装備品を収納できる実用性が重視されています。胸元の高くまで閉じるスナップボタンと比翼仕立ての構造は、冷気の侵入を防ぐと同時に、戦闘時に衣服が引っかからないよう設計されたものです。袖口にはボタンとタブが備えられ、風の侵入を最小限に抑える仕様となっています。裾もやや長めに設計され、重ね着を想定しつつ保温性を確保する構造となっており、まさに「機能性を突き詰めたミリタリーウェア」であることがうかがえます。
また、この個体のように激しい使用感が残るものは、当時の兵士たちが直面した過酷な戦場を想起させます。染みや擦れ、色褪せはすべて偶然のものではなく、極限状況の中で実際に用いられた痕跡です。こうした痕跡は一着ごとに異なる個性を持ち、単なる衣服を超えて「歴史を物語る証拠」としての価値を帯びています。
さらに、このウィンドブリュースは量産されたものの、現存数は非常に限られています。終戦時に多くが失われ、戦後も劣化や廃棄によって現存する個体はわずかとなりました。そのため今日市場に流通する例はきわめて稀であり、軍装研究家やアーカイブコレクターの間では喉から手が出るほどの逸品とされています。特に山岳猟兵部隊仕様のアイテムは、部隊そのものが精鋭で規模も限定的であったことから、希少性は群を抜いています。
戦時的情勢を背景に考えると、この一着の持つ意義はさらに深まります。1940年代初頭から中盤にかけて、ナチス・ドイツは東部戦線での長期戦に直面しました。過酷な冬季環境は、時に兵器や戦術以上に戦局を左右する要因となりました。兵士たちが寒さで動けなくなることは珍しくなく、防寒具の不足は大きな問題でした。その中で開発されたM42リバーシブル・ウィンドブリュースは、兵士たちを守る「もうひとつの武器」として機能したのです。現代的な視点から見れば、これは戦争の非情さを象徴するアイテムであると同時に、人間が生存のために知恵を絞り出した成果でもあります。
ミリタリーウェアはしばしば「機能美」という言葉で語られますが、この一着においてはその言葉がまさに的を射ています。全てのディテールには明確な意味があり、デザイン上の装飾は一切存在しません。しかし、その無駄のなさ、合理性こそが独自の美を生み出しています。そして今日、ファッションデザインの領域においても多大な影響を与えている点は見逃せません。現代のアウターウェアにおけるフラップポケット、防風構造、リバーシブル仕様などは、このような軍用被服から着想を得た要素が少なくないのです。
この「40s WWⅡ German M42 Gebirgsjäger Reversible Windbluse」は、単なる軍服の一種ではなく、戦時下における技術革新と人間の生存戦略の結晶です。コレクションとしての希少性はもちろん、ディテールをひとつひとつ見ていくことで、その背後に広がる歴史と人間の営みを読み取ることができます。戦場の過酷さを想起させると同時に、衣服が持つ根源的な力を改めて考えさせてくれる稀有な一着です。


