WORK & MILITARY

1910~1920's French Vintage Cotton Linen Duster coat with Chin strap "Dead stock"

定価
¥110,000
定価
特価
¥110,000
Tax included
COLOR : YELLOW

SIZE ONE:着丈121.5cm肩幅48.5cm身幅65cm袖丈66cm

MATERIAL : COTTON / LINEN

1910~1920's French Vintage Cotton Linen Duster coat with Chin strap "Dead stock"

20世紀初頭、産業革命を経て生活様式が大きく変化したフランスにおいて、都市と農村をつなぐ交通手段は馬車から自動車へと移行し始めていました。その黎明期に人々が必要としたのが、衣服を土埃や泥はねから守るための「ダスターコート」。今回ご紹介する一着は、1910〜1920年代にフランスで作られたオリジナルであり、さらに未使用のまま現代に残された奇跡的なデッドストック品です。

このダスターコートは、コットンとリネンを混紡した生地で仕立てられています。リネン特有のハリと通気性に、コットンの柔らかさが加わったテクスチャーは、長い時を経てもなお健在。しなやかで軽やかな着心地はもちろん、表面に浮かぶ微かな光沢が100年前の服飾文化を静かに物語ります。色合いは鮮やかでありながら深みのあるマスタードイエロー。大地や収穫を連想させるトーンは、実用服でありながらもどこか温かみと洗練を兼ね備えています。

デザインの要点は、クラシカルなダブルブレストの前合わせと、襟元に備えられたチンストラップ。これは風や埃の侵入を防ぐための実用的なディテールであり、同時代のワークウェアやミリタリーコートにも通じる機能性を示しています。ゆったりと広がるシルエットは、当時スーツやドレスの上から羽織ることを前提として設計されており、現代においてはオーバーサイズのアウターとして抜群の存在感を放ちます。袖や肩のカッティングにも独特の立体感があり、機能性だけでなく造形美としての完成度も際立っています。

1910〜20年代のフランスは、第一次世界大戦を経て社会構造が大きく変動した時代。都市生活が加速する一方で、田園風景や地方文化もまだ色濃く残っていました。ダスターコートは、そうした時代の「移動」と「労働」に寄り添う衣服であり、庶民から知識人まで広く着用されたユーティリティウェアです。本品は軍用ではなくシティユースに近い性格を持ちながらも、当時のフランス的な機能美を体現しており、資料的にも極めて貴重な存在といえるでしょう。

未使用のデッドストックとして発見されたこと自体が奇跡的です。多くのダスターコートは日常で酷使され、擦り切れたり汚れたりして失われていきました。現代に残る個体のほとんどがワークウェアらしい経年変化を帯びている中、本品のように100年以上前の姿をそのまま留めた一着は、まさに「タイムカプセル」とも呼べるものです。生地の質感、ボタンの輝き、縫製のステッチに至るまで、当時の空気をそのまま閉じ込めています。

ファッションの視点から見ると、このコートは現代のスタイリングにも新鮮さを与えます。例えば無地のシャツやトラウザーズと合わせればクラシックなムードに。デニムやスニーカーと組み合わせれば、100年前のアーカイブがモダンなストリートスタイルへと生まれ変わります。性別を問わずユニセックスで着用可能な点も魅力であり、アウターとしての汎用性は極めて高いものです。

さらに、近年のファッションシーンにおいては「ダスターコート」というアイテム自体が再注目されつつあります。トレンチコートやモッズコートとは異なる歴史を持ち、より素朴で実直なワークウェアとしての側面を色濃く残している点が、コレクターや愛好家の間で高く評価されています。本品はその中でも、未使用・フランス製・コットンリネン・チンストラップ付きという四拍子が揃った、他に類を見ない希少個体です。

総じて、この1910〜1920年代のフレンチ・ダスターコートは、単なる古着ではなく「歴史を纏う衣服」であり、同時に資料的価値を持つアーカイブピースです。自動車社会の黎明期、埃舞う街道を疾走する人々の生活を守ったこのコートは、100年の時を超え、今再び私たちの手に届きました。その存在は、当時の産業・文化・美意識を凝縮した証であり、まさに「着ることのできる歴史資料」と言えるでしょう。

ファッション的な実用性、ヴィンテージとしての希少性、資料的な意義。そのすべてを兼ね備えた一着を、ぜひあなたのワードローブに迎え入れてください。