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06SS STONE ISLAND TELA NOVA SHIRT JACKET BY PAUL HARVEY

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COLOR : GREEN × RED

SIZE:XL 着丈64cm 身幅60cm 裄丈81cm

MATERIAL : COTTON

06SS STONE ISLAND TELA NOVA SHIRT JACKET BY PAUL HARVEY

2000年代初頭、テクノロジーとファッションが交差する地点で革新的な素材開発を続けていたブランドがある。STONE ISLAND。

このジャケットは、2006年春夏コレクションに登場した「Tela Nova(テラノヴァ)」と呼ばれる生地を使用したシャツジャケットで、デザイナー ポール・ハーヴェイ(Paul Harvey) 在籍期の代表的な作品のひとつです。


ポール・ハーヴェイは1996年から2008年までの約12年間、STONE ISLANDのデザインディレクターを務めた人物。もともとイギリスのジャーナリストであり、素材の背景や機能性を重視した思想をもって服作りに挑みました。彼の時代のSTONE ISLANDは、単なるストリートウェアではなく、生地研究と染色実験の先端を行く“実験室的ブランド” としての地位を確立しています。

その中でも「Tela Stella(テラステラ)」と「Tela Nova(テラノヴァ)」は、ブランドのDNAを象徴する二大素材。


「Tela Stella」は1982年、STONE ISLAND創設時にマッシモ・オスティが開発した伝説の生地。ヨットの帆布をもとにしたコットンとナイロンの混紡素材で、ガーメントダイ(製品染め)によって独特の風合いと深みのある色を表現しました。その後継として誕生したのが、この「Tela Nova」。名前の通り“新しい帆布”を意味し、より軽量で柔らかく、耐久性を持ちながらも経年で美しくエイジングするよう再設計された素材です。


本作ではそのTela Novaを、まるでワックスドコットンのように見える独自のコーティングと洗い加工で仕上げています。淡いグリーンの色調には、STONE ISLAND特有の製品染めによる濃淡が現れ、まるで大地に風化したミリタリークロスのような奥行きを感じさせます。

さらにライニングには鮮やかなコーラルピンクを採用。このコントラストが、当時のポール・ハーヴェイ期のデザイン哲学 ― “実験と調和の融合” ― を如実に物語っています。表の荒々しさと内側の色気。工業的な機能美の中に人間的な温度を感じさせる配色です。


シルエットは、シャツジャケットという名にふさわしく軽快で、かつ立体的。ミリタリーのユーティリティジャケットをベースにしながら、胸ポケットのフラップ、袖のパネルライン、襟のカッティングなど、細部のデザインバランスが非常に洗練されています。前を開ければリラックスしたワークスタイルに、ボタンをすべて留めてスタンドカラーにすれば、まるでモードなハンティングジャケットのような佇まいに変化。一着で二つの表情を持つ構築的デザイン は、当時のSTONE ISLANDの中でも屈指の完成度を誇ります。


左袖にはもちろん、アイコニックなコンパスパッチが配されます。

このシンボルは“方向性を失わない”という意味を込め、STONE ISLANDの哲学を象徴するもの。ブランドの黎明期から続くその意匠が、ミリタリーとテクニカルデザインの融合というアイデンティティを今も語り続けています。


また、2000年代中盤のSTONE ISLANDは、現在のような世界的熱狂の前夜期。アーカイブとして残存するアイテムの数も限られており、このTela Novaシリーズは市場でも極めて入手困難な存在 です。

特にこのジャケットは、製品染めと樹脂加工による独特の風合いが一点ごとに異なるため、同じ色味の個体はほぼ存在しません。まさに“一期一会”のヴィンテージとして、コレクターの間でも高い評価を受けています。


状態も驚くほど良好。生地のコーティングはしっかりと残り、退色も自然で美しいグラデーションを描いています。パーツの欠損やリペアもなく、タグ、パッチともに完全なオリジナル。サイズバランスも秀逸で、現代のワイドトラウザーやシャープなパンツスタイルとも高相性。軽さがありながら構築的なシルエットを保ち、インナー次第で通年着用できる万能性も魅力です。


この時代のSTONE ISLANDは、まだ大量生産の波に乗る前であり、職人気質な生産背景が残っていた時代。現在のリリースラインとは異なり、ひとつひとつに独自の染色ムラや素材表情が宿ります。その偶然性こそが、当時のSTONE ISLANDを特別な存在にしています。


淡く霞んだグリーンのTela Nova。光を受けるたびに表情を変え、角度によってはオリーブにも、グレーにも、ブルーにも見える。長く着込むほどに艶を増し、まるで時間の経過がデザインの一部になるような一着。

それは単なるファッションではなく、「素材が語る物語」を身にまとう感覚。ポール・ハーヴェイ期のSTONE ISLANDが追い求めた理想そのものです。


06SS Stone Island “Tela Nova” Shirt Jacket by Paul Harvey

機能性と芸術性が完全に交わった、わずかな時代の証。

現代のストーンアイランドにはもう存在しない、実験精神と詩的な感性が息づく珠玉のアーカイブです。