1954 Pattern Belgian Army Brush Stoke (Ball and Moon) Camouflage Over Trousers
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¥77,000 - 定価
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¥77,000
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COLOR : Brush Stoke camo
SIZE ONE:ウエスト~124cm 股上40cm 股下80cm ワタリ39cm 裾幅28cm
MATERIAL : COTTON
1954年製、ベルギー軍が誇る幻の迷彩「Brush Stroke Camouflage」、通称“ボール&ムーン”パターンのオーバートラウザー。数あるヨーロッパミリタリーの中でも、英国軍デニソンスモックと並び称されるほどの人気と評価を受けるベルギーブラッシュストロークカモは、視覚的インパクトと資料的価値を兼ね備えた存在です。その中でも1954年製という極めて初期のピースは、もはや市場に現れる機会自体が限られています。
このカモフラージュは“Brush Stroke(刷毛跡)”の名の通り、刷毛で大胆に塗り重ねたような有機的なパターンが最大の特徴。丸みを帯びた「ボール」と湾曲した「ムーン」の形状が連続することから“Ball and Moon”とも呼ばれ、植物や地面の凹凸に溶け込むよう計算されたデザインです。単なる迷彩ではなく、当時の軍事思想と芸術性が交差したグラフィックといっても過言ではありません。
本個体は1954年パターン。1956年製のものと比較すると、生地に明らかな違いがあります。1956年以降のモデルはコシが強く、やや硬質なキャンバスのような質感に移行しますが、54年製はより柔らかく、しなやかで軽やかな風合いを持っています。この柔らかさは現存数の少なさにも直結しており、耐久性の面で消耗・廃棄されやすかった背景がうかがえます。その分、現代に残る個体は希少性が極めて高く、コレクターズピースとして扱われることがほとんどです。
ディテールも非常に興味深い仕様です。いわゆる“前期型”と“後期型”の要素が混在した個体で、ポケット配置は本来52年製に見られるフロントポケットではなく、サイドポケット式の後期仕様を採用。しかし、全体のパターンバランスや縫製仕様には初期型の空気感が色濃く残っており、過渡期に生まれた移行型とも言える極めて珍しい構成です。こういった仕様は資料レベルで確認されることはあっても、実際の個体として現存する例は非常に少なく、市場価値以上にアーカイブ的価値を感じさせます。
シルエットはオーバートラウザーならではのゆとりある設計。裾にはドローコードを備え、ブーツやハイカットシューズの上から被せることを想定した作り。これにより、現代のスタイリングにおいてもレイヤードやシルエット調整の幅が広く、単なるミリタリーパンツではなく“構築的な一本”として機能します。ワイドなシャツやニット、モード系トップスと合わせれば、クラシックミリタリーとは異なる、新しい表情を引き出してくれます。
さらに特筆すべきは、色の残り方と全体のコンディション。カモフラージュの発色は非常に良好で、グリーン、ブラウン、オリーブのトーンが鮮明に残存しています。生地の薄れや極端なダメージは見当たらず、ヴィンテージとしては申し分のないコンディションを保持。実際に軍で使用されていた実物でありながら、現代で着用できるレベルの状態を保っている点は、この年代のベルギー軍アイテムにおいて極めて稀です。
ブラッシュストロークカモは、単なる柄モノの軍パンではありません。それは迷彩という概念がまだ発展途上だった時代に、試行錯誤の中で生み出された視覚兵器であり、軍服という枠を超えたデザインプロダクトでもあります。数多くのメゾンやデザイナーが資料として参照してきた背景には、こうした完成度の高さと独自性があります。
1954 Pattern Belgian Army Brush Stroke Camouflage Over Trousers。
前期生地の柔らかさ、後期型ポケット仕様、ボール&ムーンと呼ばれる特異なカモフラージュ。単なるヴィンテージではなく、“軍事・歴史・デザイン”が交差する一点物のアーカイブピースです。ミリタリーウェアの枠を超え、スタイルを語れる存在として、ぜひ手に取っていただきたい一本です。


