1950's Czechoslovakian Army Dubaky Camouflage Reversible Trousers
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¥165,000 - 定価
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¥165,000
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COLOR : DUBAKY CAMO
SIZE ONE:ウエスト~94cm 股上35cm 股下60cm ワタリ37.5cm 裾幅22cm
MATERIAL : COTTON
1960年代、冷戦初期のチェコスロバキアが社会主義体制下で独自に生み出した名作迷彩“ドゥバキーカモフラージュ”。その唯一無二の造形美と用途の特異性から、今では「幻の迷彩」と呼ばれるこのパターンを用いたチェコスロバキア軍実物パンツが入荷しました。本個体はデッドストックではなく、実際に兵士が着用し、演習あるいは任務の過程を経た リアルな“使用履歴”が宿る一点物。その経年変化によって生まれた表情こそ、ヴィンテージファンにとって代えがたい魅力のひとつです。
Dubaky とはチェコ語で「オークの葉」や「森のキノコ」を意味し、その名の示す通り、森林の光や影、朽ちた落ち葉の濃淡を抽象化したパターンが特徴です。明るいカーキやベージュ、ライトグリーンを基調とした色面が、ブラウンやダークグリーンと複雑に重なり合い、自然環境に溶け込むための“有機的な迷彩”を構成しています。アートのように見えるのに、しっかりと迷彩として成立している。この相反するバランスはチェコスロバキア軍独自の美意識があってこそ生まれたものです。
履き込まれた本個体は、この迷彩が持つ芸術性をより一層引き立てています。
日光によるフェード、洗濯による僅かな縮み、生地の柔らかい落ち感。新品では見ることのできない“時間のレイヤー”が迷彩の抽象性と重なり、まるで絵画のエイジングのように深みを増しています。カモ柄の輪郭が淡く滲み、トーンが落ち着くことで、自然と現代服にも馴染む洗練された表情へと変貌しているのです。
裏面には、通称 Mloky(ムラキー)カモ、または“クラウドカモ”と呼ばれるもう一つの希少パターンを搭載。グレー、オリーブ、チャコールブラウンといった沈んだ色面をぼかしながら重ねた、霧や曇り空のような抽象模様が特徴です。暗所や森林の陰影で高い隠蔽効果を発揮する設計で、ドゥバキーとは全く違う表情を持ちつつ、いずれも東欧ミリタリー特有の文化的感性が息づいています。実使用個体ならではの裏地のヤレ感や、僅かな摩耗がまた奥行きを生み、二つの迷彩をより“リアルな装備”として感じられます。
このパンツが生産されたのは、第二次大戦後、軍再編が急がれていた1950〜60年代。空挺部隊や特殊任務の兵士に向けて限られた数が作られたため、そもそもの現存数が少なく、特にボトムスは実戦や訓練で酷使された影響で “状態の良い個体” にほとんど出会えません。そのため、当時の兵士の生活や任務の痕跡を残したこうした実使用の一本は、デッドストックとはまた別の意味で希少性を持ちます。歴史の中をくぐり抜けてきたリアルさが、一本ごとに異なる個性として現れるからです。
ディテールは非常に機能的で、深い股上とゆとりのあるテーパードシルエット、前後の大容量フラップポケット、ウエストのドローコード調整など、実戦を前提とした合理的設計が随所に見られます。生地は耐久性の高いコットンツイル。使い込まれることで柔らかく体に沿い、まるで古いキャンバスバッグのような味わい深さを獲得しています。この“自分の動きに馴染んでくる快感”こそ、実使用ヴィンテージの醍醐味と言えるでしょう。
スタイルとしても、現代の空気に非常によく合います。ドゥバキーの柔らかい配色はカモ柄の中でも珍しく、ブラウンやベージュを含むため、無地トップスと合わせるだけで洗練されたミリタリースタイルが成立します。新品のカモ柄にはない、淡いフェードと落ち着いたトーンがコーディネートを大人っぽく引き締め、東欧ミリタリーらしい“渋さ × アート性”のバランスを楽しめます。
単なる軍用パンツではなく、冷戦下の政治・文化・軍事が複雑に絡み合った背景を持つ、時代の証言者のような存在。そして、実際に使用された個体だからこそ宿る説得力と物語性。今では存在しない国家・チェコスロバキアが遺したミリタリーデザインの結晶とも言える一本です。
一点ごとに異なる表情を楽しめる“生きたヴィンテージ”。
アートピースのような迷彩を、あなただけの履き込みでさらに育てていく──そんな特別な体験を与えてくれる一本です。


