1940's FRENCH ARMY M-35 LINEN MOTORCYCLE COAT
- 定価
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¥143,000 - 定価
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- 特価
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¥143,000
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COLOR : KHAKI
SIZE:ONE 着丈109cm 身幅65cm 裄丈71cm
MATERIAL : LINEN
1940年代、フランス軍が運用していた名作「M-35」。その中でも特に希少とされる、リネン素材のモーターサイクルコートが残されています。無骨さと優雅さが同居するフレンチミリタリーの象徴とも言えるこの一着は、実用装備でありながら、どこか仕立服のような気配を漂わせる特異な存在です。
元来このコートは、伝令兵や憲兵、オートバイ部隊のために設計された防風・防塵用アウター。走行時の風圧から身体を守るため、身幅は大きく、肩周りには可動域を確保する独特のパターンが採用されています。にもかかわらず、無駄のない縦のラインと抑制されたディテールにより、軍用品でありながら不思議なほど洗練された佇まいを持っています。
本個体最大の魅力は、しなやかすぎるほどのリネン生地です。いわゆる硬さのある麻ではなく、何度も洗い込まれたような“プルプル”とした独特の柔らかさ。指でつまんだ瞬間に感じる、空気を含んだような軽さと落ち感は、この年代のフレンチリネンでしか味わえない質感です。現代のリネンには再現が難しい高密度の織りと経年変化による馴染みが混ざり合い、身体の動きに自然に追従するようなドレープを生み出します。
サイズは3。現存するM-35の中でも比較的大きめのサイズレンジですが、だらしなく見えないのがこのコートの不思議な魅力です。肩から裾にかけてストンと落ちるAラインのシルエットにより、体格を選ばず美しい縦のラインを描きます。中にジャケットや厚手のニットを仕込んでも余裕がありながら、ボタンを留めれば品のあるコクーンシルエットへと変化します。
フロントは比翼ではなく、当時の軍用ボタンを備えたクラシカルな構造。エポレット付きのショルダー、腕の可動域を広げる立体的な袖付け、風の侵入を防ぐための高めのスタンドカラー。どれもが実用性に基づく設計でありながら、現代の視点で見ると完成されたデザインコートとして映ります。袖口のアジャストストラップや、コート内部に残る素朴な縫製痕も、この年代特有の魅力です。
コンディションは非常に良好。この年代のリネンコートにありがちな大きな裂けや致命的なダメージは見受けられず、長い年月を経たとは思えないほど生地の強度としなやかさを維持しています。リネン特有の細かなネップや色ムラはありますが、それは欠点ではなく、むしろ“素材が生きてきた時間”を感じさせる要素として、この個体に深みを与えています。
M-35モーターサイクルコートは、単なる軍用コートではありません。それは1930〜40年代のフランスという時代が生み出した、機能美の結晶です。後年、多くのメゾンブランドやデザイナーがこの形をサンプリングし、トレンチやモーターコートの原型として再解釈してきました。その源流にあるのが、まさにこの一着です。
ワイドスラックスやミリタリートラウザーと合わせれば無骨な佇まいに、スラックスやドレス寄りのトップスと合わせれば、フレンチモードのような雰囲気へと変化します。春先や秋口はもちろん、冬場はインナーにレイヤードを重ねることで通年使用も可能。リネンでありながらシーズンレスに楽しめるのも、この生地の特性です。
1940’s French Army M-35 Linen Motorcycle Coat。
サイズ3、良好なコンディション、そして他では味わえない“プルプル”としたリネンの質感。このコートは、単なるヴィンテージではなく、歴史と空気感をそのまま羽織るための一着です。時間を重ねたものだけが持つ静かな説得力を、ぜひ体感していただきたい存在です。


