WORK & MILITARY

1980s Salamander Splinter Camouflage Anorak Hoodie

定価
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特価
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COLOR : Salamander Splinter Camo

SIZE ONE:着丈73cm 身幅55cm 裄丈88cm

MATERIAL : COTTON主体

一見しただけで「只者ではない」と直感させる、異様とも言えるほどの存在感。

こちらは旧チェコスロバキア圏における冷戦期の実験的・試験的装備の流れを汲むと考えられる、極めて希少なフード付きプルオーバータイプのカモフラージュアノラックです。いわゆる正規採用モデルという枠組みでは語りきれない、プロトタイプ、あるいは実験的商用(Experimental-Commercial)ピースとして位置付けられる一着であり、市場での確認例はほぼ皆無に近いレベルにあります。


最大の特徴は、その圧倒的に特異なカモフラージュパターンです。ベースとなっているのは、チェコスロバキア周辺で確認されているサラマンダーカモと呼ばれる有機的なスプリンター調の迷彩。その上から、縦方向に走るレインドロップ(雨滴状)ストロークが重ねられており、単一の迷彩ではなく「二層構造の視覚ノイズ」を生み出しています。これはドゥバキーカモやクラウドカモとも一見似た印象を与えますが、実際にはそれらとは全く異なる思想で構成されており、むしろ「視覚的攪乱」を極端に突き詰めた結果として成立しているパターンと言えるでしょう。


ディーラーの記述にもある通り、このパターンには公式名称が存在せず、海外のカモフラージュ研究・コレクターの間でも仮称で呼ばれているに過ぎません。 サラマンダーカモに似た配色や構成要素を持ちながら、より大振りで荒々しいスプリンター形状と、雨のように落ちる縦線を組み合わせている点が最大の違いです。そのため「Newt Camo」や「Salamander Splinter」といった呼称で語られることもありますが、いずれにせよ体系化される前段階の、極めて過渡的な迷彩であることは間違いありません。


形状はフード付きのプルオーバータイプ。フロントはフルオープンではなく、胸元まで開閉可能なジップ仕様となっており、ここにはwicoジッパーが採用されています。このジッパーの存在は、年代判定および地域性を考察する上で非常に重要な要素で、当時の東欧圏における装備開発・試作の文脈と強く結びついています。ジップ周辺の縫製や生地の切り替えからも、量産品というよりは限定的なロット、あるいはテスト用途であった可能性が色濃く感じ取れます。


さらに注目すべきは、背中が開く仕様、バックベンチレーション構造を備えている点です。これは単なるデザインではなく、行動時の通気性や可動性を確保するための明確な機能設計であり、山岳・森林環境、あるいは長時間の訓練行動を想定していたことが窺えます。現代のアウトドアウェアにも通じる発想を、すでにこの時代に試みていたこと自体が非常に興味深く、東欧ミリタリーの実験精神を象徴するディテールと言えるでしょう。


生地はコットンを主体としながら、わずかに化学繊維が混ざっているような質感を持ち、完全な天然素材にはないほんのりとした光沢が確認できます。この質感が、カモフラージュのストロークと相まって独特の陰影を生み、光の当たり方によって表情が大きく変化します。完全な軍用コットンキャンバスとも、後年のナイロン混素材とも異なる、まさに「過渡期」的なテキスタイルです。


フードの立体感も非常に優れており、被った際に自然なボリュームが生まれる構造。首元から肩にかけてのラインは無駄がなく、実用性を第一に考えながらも、結果的に非常に洗練されたシルエットを形成しています。プルオーバーという制限のある構造の中で、ここまで完成度の高いバランスを実現している点は特筆に値します。


ディーラーの証言によれば、このパターンで市場に出た個体は、これまでにこの一着がほぼ初例に近く、あとは個人的に所有されているトップスが数点のみとのこと。つまり、コレクター間でのみ断片的に存在が知られていたレベルの迷彩であり、一般流通した記録はほぼ皆無です。その希少性は、いわゆる「レアカモ」という言葉では到底言い表せない領域にあります。


コンディションに関しても、この種の実験的個体としては非常に良好な状態を保っており、致命的なダメージは見受けられません。わずかなリペア痕が存在する可能性はありますが、それもまたこの個体が試験・使用の過程を経てきた証であり、むしろリアリティと説得力を高める要素として捉えるべきでしょう。


このアイテムは、単に「珍しいカモ柄の服」という次元には収まりません。冷戦期チェコスロバキアという特殊な政治・軍事環境の中で、どのような思想で迷彩が生まれ、どのような実験が行われていたのか。その痕跡を、ほぼ未整理のまま現代に伝えている一次資料的な衣服です。研究対象としても、ファッションピースとしても、これ以上ないほどの価値を内包しています。


市場で再び同条件の個体に出会える可能性は、限りなくゼロに近いと言っていいでしょう。コレクションとして所有する価値、着用して語れる価値、そのどちらを取っても、この一着は「スペシャル」という言葉が過不足なく当てはまる存在です。

迷彩の歴史、ミリタリーの実験性、そして衣服としての完成度。そのすべてを一度に体現した、極めて稀有な一着です。